HACHI-8鉢展2025 邂逅


-総評-
第3回目となりましたHACHI-8鉢展2025は、邂逅(植物との巡り合わせを彩る鉢)をテーマに開催いたしました。規定の植木鉢としてグラキリス・パキプス・アガベと、それぞれの植物に似合う鉢、フリー作品としてオリジナル植木鉢。2作品での応募を募りました。応募総数は68名、内18名が一次審査を通過しHACHI-8店舗で展示いたしました。
優秀賞 至楽
受け口や高台(設置部)と植木鉢の胴の部分が形・柄・色ともにメリハリ良く違いがもたらされており、植物との調和も感じられる作品でした。作品名“大地の記憶”のように、植物の自生地であるアフリカやアジアを感じるテイストも評価しました。作品として完成に近い作品ですが、個性という面で工夫があればさらに良い作品になったと思います。
セレクトプランツ賞 グラキリス 西岡英里奈
艶とマットでの色彩表現、思わず手に取りたくなるフォルム。ポップで明るく楽しい個性的な植木鉢でした。植物と合わせた想像をすると植物の個性が緩いとマッチングが難しいと感じました。植物を多く合わせることにより新たな展開が始まると思います。
セレクトプランツ賞 パキプス オリーブ
パキプスを植え込んだ調和が目に見える作品でした。高台部分も作品の一部となりどっしりと植物を受け止めつつ育成できる植木鉢。作品としての雰囲気を洗練して作りをもっと細やかにしていくとより良くなると思います。
セレクトプランツ賞 アガベ Suzume no Atelier
胴にスリットが設けられアガベの育成には申し分ない植木鉢でした。スピンドルの形に沿ったデザインも綺麗に収まっています。ただし、よくあるデザインで面白さ個性に欠けますので、特別な植木鉢としてデザイン設計されることを期待します。
審査員賞 そら食堂
植木鉢としての新たな素材として、夜光貝という素材を選ばれたことを評価いたしました。貝殻をコーティング等、強化すると実用にも耐える素材になると思います。カタチは面白く個性的な植物の家にしてみたいと思いました。
審査員賞 FJ
金属の溶けで作られた植木鉢は新しい表現を見ました。もっと振りきった作品も見たいと思いました。金属を溶接して作られた植木鉢は重厚感がある上、幾重にも重なるビードが本来、無機質である金属を有機質なもののように感じられました。前述した通り今後はこの作製技術と、金属という材質が持つ特徴を活かした上でFJ様の世界観溢れる振り切った作品の誕生に期待を寄せています。
審査員賞 大谷紀貴
赤という出しにくい色をうまく効かせられた作品で伝統を周到したデザインもよく感じました。佇まいとしての進化を期待します。水色の鉢も高台を高くする等の個性があると良いかなと思います。お話の中にあった漆器のような釉薬も期待しております。また、植物をみていただきイメージを持つとより良い作品となりそうです。
審査員賞 アトリエきいろいことり
トライアングルを繋いだデザインの陰影を表現し、可愛らしさも盛り込まれた作品でした。色々な彩のパネルやモノトーングラデーションのパネルで作られるのも見てみたいと思いました。三角形が小さい作品も面白そうです。もう少しインパクトがあるとコンテストとしての評価が上がったと思います。また、今回の作品は価格として少し高く感じました。が、植物に合うデザインでインテリアとともに楽しむ時間を作れる作品だと思います。
HACHI-8賞 momo
HACHI-8賞 gAo
HACHI-8賞 shosho
HACHI-8賞 高橋ゆうき
最後に...
今回は残念ながら最優秀賞となる作品がございませんでした。新しい個性・眼を見張る技術・植物との一体感に主眼を置き審査いたしました。過去の最優秀賞者と比べ同じようなレベルに達する植木鉢がございませんでした。
HACHI-8店舗やInstagramをご覧いただき、植物や植木鉢についてもっと知っていただくとより良い作品につながると考えます。
来年はより高い個性・技術で挑戦いただけることを楽しみにしております。